
ロジックとクラフトで、プロダクトと事業をデザインする
「キャリアパーク!」「就活会議」「みん就」を支える、
ポート株式会社のデザイナーの仕事
ポート株式会社
「社会的負債を、次世代の可能性に。」をパーパスに掲げ、人材・エネルギー領域で成約支援事業を展開するポート株式会社。「キャリアパーク!」「就活会議」「みん就」など、若い世代の進路選択を支えるプロダクトを運営しています。
その体験をデザインするのが、13名からなるクリエイティブグループです。UIを整えるだけではなく、PMやエンジニア、マーケターとともに課題を整理し、プロトタイプを作り、KPIを検証し、次の改善につなげる。デザイナーはプロダクトと事業の両方に深く関わります。
制作会社を経て2014年に入社し、現在はシニアマネージャーとして組織を率いる小杉憲司さんに、具体的な仕事、デザインの判断軸、そしてこれから作りたいチームについて伺いました。
10名を超えるデザイナーが、自社プロダクトを支える
── まず、小杉さんの現在の役割と、クリエイティブグループの体制を教えてください。
小杉さん私は広告・クリエイティブの制作会社で約5年働いた後、2014年12月にポートへ入社しました。現在はクリエイティブグループのシニアマネージャーとして、13名のデザイナーのマネジメント、予算管理、採用を統括しながら、自分自身もコーポレートサイトや採用サイト、横断的なクリエイティブを担当しています。
グループ内では5名が受託案件を担当し、残りのメンバーが自社プロダクトを担当しています。「キャリアパーク!」「就活会議」「みん就」などの主力サービスには、1〜3名のデザイナーが専任で入り、PMやエンジニアと同じプロダクトチームの一員として動きます。
すべてのプロダクトに同じ人数を配置するのではなく、成長フェーズに応じて体制を変えています。投資フェーズでは立ち上がりに専任で入り、体験の土台を作った後はマーケターへ運用を引き継ぐこともあります。複数の事業を持つ会社だからこそ、どこにデザインの力を集中させるかも重要な設計です。

── 現場のデザイナーは、具体的にどのような仕事をしていますか。
小杉さん大きく分けると、UI/UXデザイン、ビジネス側とのクリエイティブ改善、PM・エンジニアとの実装連携の3つです。
まず、新機能や改修施策のUI/UXデザインです。新しいコンテンツや機能、トップページの検索導線などについて、PMが検討した要件をもとにFigmaでプロトタイプを作ります。ただ画面をきれいにするのではなく、ユーザーがどこで迷うのか、どの順番なら理解できるのか、次の行動へどうつなげるのかを考えます。就活のように不安を伴う意思決定を支えるサービスなので、遷移一つ、コピー一つにも理由が必要です。
次に、マーケティングやセールスと連携したLP、バナーなどの制作と改善です。セッション数やCVRを見ながら仮説を立て、ABテスト用のクリエイティブをスピーディーに展開します。数字を伸ばすことはもちろんですが、短期的なCVだけを追って、サービスへの信頼やプロダクトの価値を損なわないことも大切にしています。

小杉さんそして、Figmaのモックアップを起点にしたPM・エンジニアとの壁打ちです。要件が固まってからデザイナーが呼ばれるのではなく、課題の整理、設計思想、実装上の制約、リリース後の運用まで対話します。気になる導線や違和感のあるUIを、クリエイティブ側から施策として起案することもあります。ポートのデザイナーは、UIを作る人というより、プロダクトを前に進める人に近いと思います。
日々の仕事も、一つの画面を作り続けるというより、複数の視点を往復するイメージです。PMと要件を整理した直後に、エンジニアと実装方法を詰め、マーケターと数値を振り返る。その結果を次のプロトタイプへ反映します。職種ごとの役割はありつつも、デザイナーが議論の接点になる場面は少なくありません。

数字とデザイン表現。その間にある「単純ではない正解」を探す
── ポートのデザインで、特に難しく、面白い部分はどこでしょうか。
小杉さんポートが向き合うのは、就活中の学生や電力の切り替えを検討する生活者など、不安を抱えながら意思決定をするユーザーです。情報を並べるだけでは足りません。どの順序なら理解できるか、どの表現なら不安が減るか、どの動線なら納得して次に進めるかまで設計する必要があります。
一方で、事業として成果を出す必要もあります。マーケティング施策ではKPIが明確ですし、機能やデータベース、運用上の制約も多い。ユーザー体験、ビジネス要求、実装可能性、ブランドへの信頼を同時に見ながら、現実的な着地点を探します。「ユーザーファースト」と言うだけでは解けない課題が多いからこそ、デザイナーの思考力が問われます。
── 制作会社時代から続いている、ご自身の判断軸はありますか。
小杉さん制作会社時代から「アワードを取りにいく」「1ピクセル単位で細部まで突き詰める」という姿勢を持ってきました。事業会社では数字が優先され、クラフトが後回しになると思われることがありますが、私はどちらかを諦める必要はないと考えています。
目先の数字には表れなくても、安心感や信頼感、会社やプロダクトの見え方は、後から効いてきます。だからロジックで骨格を作り、クラフトで体験の質を上げる。数字も見栄えも守ることが、ポートのデザイナーに求められる仕事です。
例えばABテストで数値が良かった案が、そのまま最終解とは限りません。なぜ反応が変わったのかを読み解き、誤解を招く表現になっていないか、長期的な信頼を損なわないかまで確認する。定量データを判断材料にしながら、データだけに判断を委ねないことも、デザイナーの役割だと考えています。

ロジックとクラフトを支える、5つの判断軸
── 会社のパーパスやカルチャーは、デザインの現場にどう浸透していますか。
小杉さん「PORT 5 Values」という5つの行動指針が、チームの共通言語になっています。全社向けの言葉をそのまま掲げるだけではなく、デザイナーの仕事に置き換えると何を意味するのかまで言語化し、いつでも確認できるようにしています。
「アンインストール」は、過去の成功パターンや得意なテイストに固執せず、素直に学び直すこと。「パートナー思考」は、PM、エンジニア、マーケター、顧客を発注者としてではなく、同じゴールを目指す相手として捉えることです。
「高い解像度」は、複雑な課題を因数分解し、仮説、データ、ユーザーの声から本質を捉えること。「ディテールコミット」は、決めたことを最後までやり切り、期待を1%以上超えること。そして「挑戦のアタリマエ化」は、生成AIを含む新しい技術や領域を、特別なイベントではなく日常の仕事に組み込むことです。
特に「高い解像度」と「ディテールコミット」は、デザインの仕事そのものです。複雑な課題を構造化して解く力と、最後の細部まで品質を上げ切る力。その両方を、チームの基準にしています。
── チーム内では、どのように知識や刺激を共有していますか。
小杉さん週1回、デザイナー全員が集まるミーティングを開いています。業務報告だけでなく、持ち回りで他社事例、担当案件のケーススタディ、生成AIや新しいツールの検証結果を共有します。
大切なのは、「すごいね」で終わらせないことです。「自分たちのプロダクトなら、どこで使えるか」まで話し、実務へ接続します。若手が新しいツールを真っ先に試し、中堅やマネージャーがそこから学ぶこともあります。会社には年間15万円までの自己研鑽支援制度があり、書籍、有料ツール、勉強会などに使えます。

「作って終わり」ではないから、デザイナーの領域が広がる
── ポートで働くことで、デザイナーはどのように成長できますか。
小杉さん一番は、ビジネスの視点が身につくことだと思います。自社プロダクトではマーケターと数値を見ながら改善しますし、受託案件では顧客の課題、提案の妥当性、デザインコストまで考えます。制作物だけでなく、その前後にある事業の構造まで理解する必要があります。
ポートのプロダクトは機能が多く、既存のデータや運用上の制約もあります。その中でビジネス側の要求を受け止め、ユーザー体験を守りながら着地点を作る。簡単ではありませんが、ロジックとクラフトを高い次元で行き来する力が鍛えられます。
もう一つの魅力は、自分が手がけたものがユーザーにどう届き、事業成果にどうつながったかまで見届けられることです。改善の結果を次の仮説に戻せるので、「作って終わり」になりません。
── 担当領域もかなり広いのでしょうか。
小杉さんプロダクト改善、マーケティングクリエイティブ、ブランディングまであります。私自身、フロントエンドやディレクション、営業も経験してきたので、職種の境界をあまり固定していません。フロントエンドの知識があれば実装を踏まえた提案ができますし、ビジネス側と話せれば課題の理解も深くなります。
もちろんデザインを深く磨く道もありますが、本人が「やりたい」と手を挙げれば、役割を越えて挑戦しやすい会社です。自分のテリトリーを広げたいデザイナーには、打席の多い環境だと思います。
制作会社から事業会社へ移る人にとっては、一つの案件を納品して離れるのではなく、同じプロダクトに継続して向き合える点も大きいと思います。以前の判断が半年後、一年後にどのような結果を生んだのかを見て、設計を更新していく。デザインを事業の時間軸で考える経験が得られます。

プロダクトだけでなく、デザイン組織も自分たちで作る
── これから、どのようなデザインチームを作りたいですか。
小杉さんビジネスと対等に渡り合える組織です。要件を受け取って形にするだけではなく、「この課題なら、いま作るべきものはこれです」とデザイン側から提案する。作り方だけでなく、作るものそのものを設計できるチームにしたいと思っています。
そのためには、ロジックだけでなく、魅力的なデザインを表現するずば抜けたクラフト力も必要です。生成AIで一定水準のビジュアルを作れる時代だからこそ、そこから先の違いを作れるかが重要になります。意見が違う時には、役職や職種に関係なく、理由を持って健全にぶつかれる組織でありたいですね。
ポートは事業の成長速度が速く、会社が先へ進むほど新しい課題も生まれます。デザインの仕組みや文化も、まだ整え切れていません。ただ、それは自分たちで基準を作れる余白でもあります。完成された組織で運用を続けるより、課題を見つけ、仕組みから作りたい人には面白いフェーズです。
── 一緒に働きたいのは、どのようなデザイナーでしょうか。
小杉さんロジックとクラフトを高い次元で両立できる人です。フィードバックを感覚だけで終わらせず、なぜこの設計なのかを説明できる。同時に、最後はビジュアルとインタラクションの品質でチームを引っ張れる。どちらか一方ではなく、考える力と作り切る力の両方を求めています。
また、今ある課題を「整っていないから仕方がない」で済ませず、自分から改善を始められる人に来てほしいです。ポートには、文化やプロセスまでデザインの対象として捉えられる余地があります。
── 中途入社したデザイナーへのサポートについても教えてください。
小杉さん中途入社者にはメンターをつけ、クリエイティブグループと担当プロダクトの両方でオンボーディングを行います。過去の情報にもアクセスでき、どのようなビジネス要求やジレンマから現在の設計になったのかまで共有します。
早い段階から実際の課題に向き合ってもらいますが、チームのサポートも用意します。働き方は週1回の出社が基本で、開発部独自の制度としてフルリモートも可能です。ただし、大きな改修や新規開発など対面の方が速い局面では、出社して議論することもあります。

ロジックで解き、クラフトで超える人へ
── 最後に、この記事を読んでいるデザイナーへメッセージをお願いします。
小杉さん正直に言えば、ポートのデザイン組織はまだ完成していません。ビジネス要求は多く、UXとの板挟みになることもあります。既存の課題を解きながら日々の施策も進めるので、整った環境で決められた仕事だけをしたい方には、合わないかもしれません。
一方で、上から降りてきた企画をこなすだけの組織でもありません。デザイナー自身が「ここを直したい」「こう見せた方がユーザーに伝わる」と考え、提案をタスクにしていく動きがあります。ロジックで課題を捉え、クラフトで体験の質を押し上げ、その結果まで見届けられます。
成熟した組織をきれいに運用することに物足りなさを感じている方。複雑さを悲観せず、文化や仕組みを自分で作る機会だと捉えられる方。そして、若い世代の大切な意思決定をデザインの力で支えたい方。そんな人と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。