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ビジネスフレームワークは活用メリットが多く、さまざまな企業で取り入れられています。メンバー間で共通認識を持ちながら作業を進められるため、Webサイト制作の現場でも活用するケースが珍しくありません。
そこで今回は、Webサイト制作で使えるビジネスフレームワークを紹介します。
ビジネスフレームワークとは
ビジネスフレームワークとは、新たなアイデアの発想や意思決定をスムーズにする分析ツールです。上手に活用することで、次のような作業を効率的かつ効果的に進められます。
・経営戦略の立案
・課題の解決
・業務の改善 など
現在、使用されているビジネスフレームワークは数多くあり、その特徴やメリットもさまざまです。その分、やみくもに使うのではなく、自社の目的や状況に合った使い分けが大切になってきます。
Webサイト制作におけるビジネスフレームワーク
Webサイト制作においても、ビジネスフレームワークは重要です。ここでは、Webサイト制作でビジネスフレームワークを活用するメリットや注意点を見ていきましょう。
効果的なWeb戦略を立てる上で必須
Webサイト制作の目的は、集客や購買の増加などクライアントの希望を叶えることです。その目的を達成するWeb戦略を立てる上でも、ビジネスフレームワークは必要になってきます。
たとえば、次のような要素について分析する際、ビジネスフレームワークが役立つでしょう。
ターゲットはどんな人たちか
顧客に訴求できる自社の強みは何か
顧客はどんなコンテンツに興味を持つか
自社コンテンツへの流入経路はどのようなものか
求めるアクションを引き出す導線はどのようなものがよいか など
メンバー間で共通認識を持つための手段
ビジネスフレームワークはメンバー間の共通認識のもと、成果を生み出すために使用します。ここで注意したいのが、活用することが目的となってしまうことです。それでは、Webサイト制作本来の目的を果たせず、本末転倒になりかねません。
あくまでも、ビジネスフレームワークはクライアントの希望を叶えるWebサイトを制作・運用するための手段です。知識として知っておき、必要に応じて使い分けることが大切になってきます。
Webサイト制作で使えるビジネスフレームワークと分析手法7選
ここからは、Webサイト制作で使えるビジネスフレームワークを7つ紹介します。
制作段階や目的に合わせて、活用するビジネスフレームワークを選択していきましょう。
ロジックツリー
ロジックツリーは1つの課題や事象を要素単位に分解し、思考を整理する手法です。複雑そうに見える課題や事象でも、要素に分解することで解決可能な課題として見えてきます。
たとえば、WebサイトのPV数が増えないという課題があったとしましょう。ロジックツリーで分解していくと、次のようになります。
┌新規ユーザーが少ない
├検索からの流入が少ない
└検索上位に表示されない
├コンテンツの内容が薄い
└内部リンクが少ない
├外部サイトからの流入が少ない
└SNSからの流入が少ない
├リピーターが少ない
├魅力的なコンテンツが少ない
├新規コンテンツが増えていない
└ユーザーの期待に応えるコンテンツが少ない
└回遊率が低い
└動線がうまく配置されていない
このように細分化された課題を1つずつクリアすることで、最終的に大元にある課題を解決できるのがロジックツリーの考え方です。
3C分析
3C分析は、市場と競合の分析を経て、自社の戦略を打ち立てる際に役立つ手法です。名前にある3Cとは、次の3つを指します。
- 顧客・市場(Customer)
- 競合(Competitor)
- 自社(Company)
この中で、とくにWebサイトのパフォーマンスに影響するのが「顧客・市場(Customer)」です。顧客のインサイトを見つけ、ニーズを把握することは効果的なWebサイト制作で不可欠となります。
その後、顧客のインサイトやニーズに対して、競合はどのような施策を講じているか分析します。最後に、これまでの分析から自社の強みと弱みを把握し、自社が成功するために必要な施策を検討するのが3C分析です。
SWOT分析
SWOT分析は自社理解を深め、プロジェクトの進め方を検討する手法です。3C分析における「自社(Company)」の分析で用いられることが少なくありません。具体的には、次の4つについて分析します。
- 強み(Strength)
- Weakness(弱み)
- 機会(Opportunity)
- 脅威(Threat)
SWOT分析で特徴的なのが、強みと弱みの扱い方です。単に把握するのではなく、弱みを補いながら強みをアピールする方法を分析できます。また、弱みを見る視点を変えることで、強みに生まれ変わらせることも可能です。
ただし、Webサイト制作におけるクライアント企業の強みと弱みを正確に把握するためには、関連する情報を漏れなく集める必要があります。SWOT分析を進める際は、内的要素(人・モノ・お金など)と外的要素(景気・社会動向・政治など)について客観的に洗い出していきましょう。
KGI / KPI
KGIやKPIは、目標の設定時に活用できる手法です。KGIは、企業の理想を数値化した最終目標となります。たとえば、Webサイト制作では「登録ユーザー1,000人」などが挙げられるでしょう。
一方、KPIはKGIを達成するために設定される目標です。そのため、KGIよりも具体的で細分化された、業務レベルの目標となります。
たとえば、「登録ユーザー1,000人」というKGIを達成するために、Webサイトへの訪問数を増やす必要がある場合を考えてみましょう。PV数の少なさが登録ユーザーが増えないの原因であれば、現状の10万PVから30万PVにするなどのKPIが考えられます。
なお、思考過程からもわかるとおり、KGIとKPIはロジックツリーが根幹をなしているフレームワークです。Webサイト制作において、KGIとKPIの設定時には、ロジックツリーを使用するとより効率的になるでしょう。
カスタマージャーニー分析
カスタマージャーニー分析では、商品やサービスに対する顧客の動きを旅(ジャーニー)に見立てます。その中で、「顧客はどこで一番気持ちが動かされるか」を分析する手法です。
具体的には、次のような要素を時系列で可視化しながら分析します。
行動
情報を知ったきっかけ
Webサイトへの流入経路
購買や登録などのアクションを行った媒体 など
思考や感情
商品やサービスの第一印象
競合と比較したときのポイント
購入や登録などのアクションに至った決め手 など
分析結果は、カスタマージャーニーマップとしてアウトプットし、課題や改善策を洗い出します。このように、Webサイト制作におけるカスタマージャーニー分析はWebサイトに訪れるユーザーの視点に寄り添っている点が特徴的です。
ペルソナ分析
ペルソナとは顧客理解とインサイトの発見に役立つ、架空のターゲット像です。ペルソナ分析では、次のような要素について具体的かつ詳細な内容を設定します。
- 年齢
- 性別
- 職業
- 家族構成
- 趣味 など
たとえば、化粧品を扱うWebサイトの場合、次のようなペルソナが設定できます。
「30代女性の専業主婦。子どもは2人。冬場になり、肌のかさつきが気になっている。しかし、家事や育児に忙しく、スキンケアの時間をしっかり取れない。そのため、時間がかからず、かつ肌のかさつきが改善する化粧品が欲しい」
上記のペルソナ分析を経ることで、Webサイト制作の方向性について「オールインワンクリームを前面に打ち出す」と絞れるでしょう。ペルソナを詳細に作り上げることで、メンバー間で共通認識を持ちながら顧客視点での制作が可能になるのです。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は商流を俯瞰し、最大限の利益を出すために手を加えるべき行程工程を分析する手法です。製造や出荷など顧客につながる「主活動」と、それを行うために必要な「支援活動」の2つに分けて考えます。
ここでは、主活動に注目して考えたいと思います。前述のKGIを達成するためには、各行程のKPIが様々存在しています。
例えばWebサイト制作のプロジェクトにおいて、クライアント企業のウェブサイトの改善をするためには、デザイン面での課題、UIの面での課題、コンテンツ面での課題、機能面での課題、運用面での課題、プロモーション面での課題、セキュリティ面での課題など様々な面での課題があります。この様に工程ごとに分解をして課題を捉えることで、漠然とした課題から具体的な課題に落とし込むことができ、それぞれについて改善策を考えることができます。
Webサイト制作でビジネスフレームワークを活用しよう
ビジネスフレームワークは、Webサイト制作における目標の設定や戦略の立案などでも役立ちます。
Webプロデューサーや上流行程を担当するWebディレクターは、Webサイト制作の作業を効率的に進めるために、ビジネスフレームワークを積極的に活用していきましょう。