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UIデザインやUXデザインで使える心理学・行動経済学の法則・アイデア・テクニックを解説!

近年、UI (ユーザー・インターフェイス) 設計や、UX (ユーザー・エクスペリエンス) 設計において心理学や行動経済学の手法を用いるケースが増えてきました。
デザインやUI設計において、ユーザーの心理や行動を理解し、活かすことは重要です。心理学や行動経済学の理論や原則を取り入れることで、ターゲットユーザーが欲していることを理解して、それに基づいて効果的で魅力的なデザインを生み出すことが可能となるでしょう。この知識を活用することで、単なる視覚的な魅力だけでなく、ユーザーの心に訴えかけ、満足度の高い体験を提供することができます。

心理学や行動経済学を取り入れるメリット

心理学・行動経済学とは?

心理学とは、人間の心や行動、感情、思考などを科学的に研究する学問です。ターゲットユーザーがなぜある行動をするのかや、特定の刺激に対する反応を理解することで、より効果的なデザインやインターフェースを作成することが可能になります。
一方、行動経済学は経済学と心理学を融合した学問で、人々の行動や意思決定に影響を与える心理的な要因を探求します。ユーザーが製品やサービスをどのように評価し、選択するかを理解することで、より魅力的な選択肢を提示することができます。

ユーザーの心理や行動を理解できる

ターゲットユーザーが特定の状況でどのように反応するかを予測することができるので、それに基づいて効果的で適切なデザインを選ぶことができるでしょう。例えば、実装したいUIデザインが複数ある場合、心理学や行動経済学の法則に関わる知識を持っていると機能やデザインを絞り込みやすくなるはずです。

サービスやプロダクトの意図する方向へ誘導できる可能性がある

心理学を学ぶことで人の心や思考・行動パターンが分かると、ターゲットユーザーの価値観や気持ちをより深く理解することができるでしょう。ターゲットユーザーをサービスやプロダクトの最終的なゴール (会員登録、商品購入、申し込み、など) へうまく促していくためには、どの様に動線を配置して、どの様な訴求をすべきなのかを理解する必要があります。そのため、心理学や行動経済学の知識を用いて客観的にユーザーの価値観や考え方を理解して、サービスやプロダクトに反映していくことが求められます。

ストレスの少ないUIやUXを設計できる

心理学や行動経済学の知識を持っていると、サービス全体の流れを意識して、UXの改善もできるでしょう。「ターゲットユーザーの思考や行動パターン」と「プロダクトの意図・目的」の両軸を理解して組み合わせることで、ストレスの少ない画面遷移が可能になり、ユーザーの心を掴む効果的なUXデザインを生み出すことができるでしょう。

心理学・行動経済学をUXデザインに活かすアイデア

心理学や行動経済学の理論をUXデザインに応用することは、ユーザーの体験を向上させる上でとても有効でしょう。これらの学問のエッセンスを理解して活用することで、ユーザーの反応を予測し、良い方向に導く方法を見出すことができます。UXデザインに心理学的なアプローチを取り入れることで、ユーザーが目的を達成しやすく、満足度の高い体験を提供することができます。それでは、具体的なアイデアやテクニックを見ていきましょう。

系列位置効果

系列位置効果とは、記憶の残りやすさに関する現象のことです。人が物事を記憶する際、情報の最初と最後は覚えやすく、中間は忘れやすい傾向があります。活用法としては、コンテンツ記事制作の際には、最初に要点を述べてから、最後に記事の内容をまとめることで、ユーザーの記憶に残りやすくなるはずです。

目標勾配効果

目標勾配効果とは、ユーザーは目標に近づくにつれモチベーションが高まり、行動や努力が加速するという心理的な現象のことです。活用例としては、会員登録ページで、ページ上部に「入力」「確認」「登録」などのステップを表示して目標に向かって着実に前進していることを可視化すると良いでしょう。(BRIKの会員登録の画面の写真)

ヤコブの法則

ユーザーは、初めて触れるWebサイトやアプリなどに、既存のものと同じような動作体験を望むという法則。何度も使ったことのある馴染みがあるUIであれば、ユーザーは「どこを辿れば必要なコンテンツが見つかるか?」をすぐに理解し、使えるようになります。よって、UIデザイナーは多くの人が慣れ親しんでいるUIを分析し、コンテンツに取り入れ、ユーザーに直感的に操作してもらえることを目指すと良いでしょう。

フィッツの法則

フィッツの法則とは、従来は人間の動作と時間に関する関係を示す理論のことを示していました。一転して現代では、PCなどの画面上で、マウスなどの入力装置を使って操作する際にかかる時間を計測する際に用いられます。
フィッツの法則の趣旨としては以下です。
・マウスポインターは大きいほど移動時間が短い/早く移動できる
・ポインターとターゲットの近い方が操作時間が短くなる
この理論をもとにした活用例としては、押させたい要素の配置をより近く、マウスのポインターサイズをより大きくすることで、ユーザビリティやアクセス性の高いデザインが実現できるでしょう。

ヒックの法則

ヒックの法則とは、選択肢の数と人が意思決定をするまでの時間の関係性を表した法則のことです。選択肢が3つ、4つ、5つと増えるほど、ユーザーの意思決定にかかる時間は増えていくとされています。
以下の公式から、人の意思決定を決める時間を求めることができます。
RT=a+b・log2(n)
RT=反応するまでの時間
a=意思決定を除く所要時間
b=意思決定にかける時間の数
n=等しく可能性のある選択肢の数
活用例としては、ユーザーの意思決定の負担を減らすためにカテゴリーなどが多く掲載されているメガドロップダウンメニューを配置することが考えられます。
大カテゴリーを作り、そこにカーソルを合わせるとその配下にある中カテゴリーや小カテゴリーが表示されるような仕組みを作ると良いでしょう。

ミラーの法則

人間が短期記憶できる情報の数は「7±2」(つまり、5〜9)とする法則です。これはWebサイトのグローバルナビゲーションの設計で多く用いられています。
実際BRIKのサイトでも5つの項目に絞られています。(BRIKトップ画面の写真)このように主要なコンテンツを5-9個内に絞り、ユーザーにストレスを与えず、惑わせないようにすることが大切です。

テスラーの法則

「どのようなシステムにもそれ以上減らせない複雑さがある」という法則。脳には、情報がシンプルすぎる場合や単調すぎてしまうと飽きてきて、思考を停止したり、大切な情報を読み飛ばしたりする性質があります。デザイン分野においては、UIの複雑性を減らすことは重要ですが、シンプルにしすぎず、楽しめるくらいの塩梅に抑えておくことが重要と言えるでしょう。

ポステルの法則

ポステルの法則とは、「入力の多様性には寛容でありつつ、出力の品質を高める」原則のことです。入力に多くの規制が入るとユーザーは不快感を感じるため、ユーザーのアクションや情報の入力の設計に注意を払うべきということです。というのも、ユーザーはサービスに対して直感的に使えることを期待しているので、使う前にあれこれ指示されることを嫌う傾向があるからです。
活用例としては、登録フォームにおいて、必要以上にユーザーの情報を登録させるのではなく、最低限必要なもののみに絞ることが挙げられます。

F型視線誘導の法則

視線誘導とは、ユーザーの視線の流れを意図的にコントロールするために用いられる方法の1つです。これによって、ユーザーに情報を認知させ、視線移動をサポートしてくれる効果があります。誘導の中でもいくつかパターンがありますが、F型はユーザーの視線が左上→右上→左下→右下→さらに下の順に移動するというものです。BRIKでもこの手法が用いられています。(BRIKのユーザー画面の写真添付)

ゲシュタルトの法則

人間は、モノを「まとまり」や「グループ」として認識・近くする傾向があり、それをデザインに取り入れていこうというのがゲシュタルトの法則の考え方です。この法則は以下の7つの要因で成り立っています。

・近接の法則(Law of Proximity)
・類同の法則(Law of Similarity)
・連続の法則(Law of Continuity)
・閉合の法則(Law of Closure)
・共通運命の法則(Law of Common Fate)
・面積の法則(Law of Area)
・対称性の法則(Law of Symmetry)

例えば、類同の法則をデザイン制作に用いた場合、「同じ要素は、色・かたち・大きさを統一し、異なる要素はデザインを変える」というルールを決めて制作を進めると、見やすさがグッと上がったデザインが期待できるでしょう。

ピークエンドの法則

ピーク・エンドの法則とは、人がある体験を評価する際、体験の内の最高の瞬間(ピーク)と終わりの瞬間(エンド)を重視するという法則。つまり、デザイン設計の際にはユーザーにとって「最も感情が高ぶる瞬間」と「体験の終え方」をよく考慮することが重要と言えるでしょう。活用例としては、ECサイト制作の際、ユーザーが商品を購入する際=最高の瞬間とし、購入プロセスの終了後のページ=体験が終わる瞬間と捉えると、焦点を当ててデザインに取り組むことができるでしょう。

プロスペクト理論

プロスペクト理論とは、人間のリスクに対する判断や選好を説明する理論のことです。人は手に入れることより失うことの方が過大評価をしやすく、損失を回避する行動をとる傾向を持っていると言われています。
活用法としては、期間限定のセールやキャンペーンを強調することで、ユーザーに対して「このチャンスを逃すと損をする」という感覚を煽ることができるでしょう。

おとり効果

おとり効果とは、積極的に選ばれないであろう選択肢をあえて並べることで、買い手の意思決定に影響を与える効果のことです。例えば、松竹梅といった3つのメニューを用意した場合、多くの人が「竹」を選ぶ傾向があります。これは、「松」が割高に見え、「梅」は他の2つよりも劣っていると感じるため、結果的に「竹」が魅力的に見えるためです。この知識は、利用できる機能や価格が異なる会員登録のグレードを選ばせる際にも活用できるでしょう。

エンダウド・プログレス効果

エンダウド・プログレス効果とは、やり始めたことの目標やゴールに近づくほど、よりゴール達成に向けてモチベーションが高まるという心理事象を指します。活用例としては、Webサイトの会員登録の画面で、情報の登録を行っているユーザーに対して、「5分で登録完了」であったり「完了まであと2項目」などのメッセージを表示させ、目標達成に向けて誘導させると良いでしょう。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、一番最初に接した、もしくは最も印象的な情報や数値が、人間の意思決定や判断に強く影響を及ぼす傾向のことです。例えば、以下の2つのキャッチコピーがあったときに、①に惹かれる方が圧倒的に多いでしょう。
①国内外の数々のデザイン賞を受賞し、現在も第一線で活躍するクリエイティブ・ディレクターによる仕事の流儀
②有名ディレクターの仕事のこだわり
このような効果をバナーやキャッチコピーにさりげなく取り入れてみることで、ユーザーへの訴求力アップが期待できるでしょう。

まとめ

ここまでデザインやUI設計で使える心理学・行動経済学のアイデアについて解説してきました。上記のような知識を持って制作に取り組むことで、よりユーザーに寄り添ったデザインを作り出すことができるはずです。ぜひ参考にしてみてください。