野原 耳子

溺れるネコに紫陽花

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執筆・編集
2019/6/1発行

<第7回B-PRINCE文庫新人大賞 優秀賞受賞作品>加筆修正版

★優しくてずるい大人(27歳)×泳げなくなった高校生(17歳)

滝川龍一(りゅういち)は将来を有望視されている競泳選手だった。
だが、春の大会で右膝を壊し、溺れてから、水が怖くなり泳げなくなってしまう。
泳げなくなってしまったことを誰にも打ち明けることができず、 負け犬を認めないスポーツ一家な家族、特待生ばかりのクラスの中で、龍一は徐々に孤立していく

ある雨の日、右膝の痛みでうずくまっていた龍一へと、不思議な男が声をかけてくる。
浅見(あさみ)と名乗った男は、龍一を介抱し、その悩みを優しく受け止めてくれる。
龍一は、雨の日は浅見の家へと入り浸るようになり、次第に浅見の優しさに溺れていく。
龍一は浅見へと恋心を抱くようになるが、だが浅見には龍一を匿う残酷な理由があって――

夢に裏切られた大人と子供が、互いに存在によって救われていく話。

野原 耳子