野原 耳子

箱庭の少年

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執筆・編集
2019/11/1発行

★小説家(叔父)×少年(甥)

――私は、ただ、可哀想なあの子を助けたいだけだった。

私にとって岬先生はベストセラーを生み出す、神様のような作家だった。
岬先生は、郊外の屋敷で甥っ子である雄太くんと、その弟の圭太くんの三人で暮らしていた。
岬先生の担当となった編集者の私は、先生の住む屋敷へと足を運び、
全身を痣だらけにした少年・雄太くんと出会う。
私は、先生に暴力を奮われる雄太くんの姿を見て、彼を助けようとするが――

優しげな微笑みを浮かべて甥っ子を殴る先生。
そして、屋敷から逃げ出すことを頑なに拒絶する少年。
殴る叔父と、殴られる甥、その関係には痛ましい秘密があった。

野原 耳子