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「まったくの未経験だけど、アプリデザイナーになりたい!」
「アプリデザイナーになるためには、何をすればいいの?」
このようにお考えの方に向けて、本記事では「未経験からアプリデザイナーを目指す方法」について詳しく解説していきます。
アプリデザイナーの具体的な仕事内容や未経験の方が取り組める学習のコツも解説しておりますので、ぜひ最後までご一読ください!
アプリデザイナーの仕事内容
まずは、アプリデザイナー (アプリケーションデザイナー) の基本的な3つの業務について解説します。
UI/UXデザイン
アプリの「UI」や「UX」をデザインする作業は、アプリデザイナーのもっとも重要な仕事と言えます。UI(User Interface)デザインとは、アプリとユーザーの「接点=インターフェース」を設計し、アプリやWEBサイト上でユーザが目的を達成しやすくするためのデザイン行程です。情報が多すぎてもユーザが迷ってしまいますし、シンプル過ぎても使いづらくユーザにサービスの価値を届けにくいです。アプリやサービスなどの提供価値をユーザーに届けられるように、「ユーザにとって使いやすい」デザインが求められます。
主なUIデザインプロセスには、以下の5つが挙げられます。
- ユーザの行動目的の整理
- ユーザ動線の設計
- 行動を促しやすくなるCTAやマイクロコピーの設計
- 行動を促しやすくなるCTAやマイクロコピーの設計
- テキストやブロックなどのページを構成する要素の適切なデザイン
- ボタンやアイコンなどのパーツデザイン
例えば、サービスページからより詳しく話を聞きたいとユーザが思っているケースを考えてみます。この際に、グローバルナビゲーションにしか「お問い合わせ」「詳しくはこちら」などの導線が無いと、見落としてしまったユーザはどこに行けばいいのかわからず、サイト上で目標を達成できなくなります。しかし、コンテンツを読み終わったページの最後にボタンを配置することで、ユーザは次の行うアクションが理解でき、より効果的で使いやすいWebサイトにすることができます。
UX (User Experience) デザインとは、サービスやアプリの顧客体験価値 (UX) を設計し、ユーザーの「体験=エクスペリエンス」をより優れたものにするためのデザイン行程作業です。UXデザインではサービスがどのような価値を届けたいのか、顧客体験を設計しデザインに落とし込むことが求められます。
主なUXデザインプロセスには以下の5つが挙げられます。
- サービスやアプリでの顧客体験の要件整理
- ユーザニーズの調査
- ユーザニーズの分析・インサイトの発見
- プロトタイプ作成
- ユーザ行動やユーザ体験のテスト検証
例えば、Amazonの例に挙げてみましょう。1つのジャンルの本の詳細ページに、「この商品を買った人はこんな商品も買っています」と他商品のレコメンドを提案することでユーザーに示唆を与え、「そのジャンルの本に興味があるユーザ」に新しい発見の機会を提供し、体験価値を大きくすることができます。また、「この商品は前に購入しています」というアテンションメッセージが購入ページで表示されることも、Amazonでの顧客の買い物体験を向上させるUXデザインといえます。
UXデザインとUIデザインは、混ざりやすい概念ですが、全く別の作業というわけでもありません。UXデザインのことを考えるためにはUIデザインのことを考える必要があり、その逆も同じです。
未経験でもアプリデザイナーになるためには、UIデザインとUXデザインの基本姿勢である「ユーザ視点」を持つということから始めてみましょう。
アプリケーションの設計・構築
- アプリを構築する前にアプリを「設計」する作業
- 設計を元にチームでアプリを「構築」する作業
上記の作業も、アプリデザイナーとして大切な仕事です。
まずは、クライアントやユーザーに求められるUI/UXを実現するために、アプリのおおまかなデザイン設計を固めていきます。具体的には、以下のようなことが決められます。
- ユーザが達成すべき目的や目標となる行動はなにか
- どのような価値をユーザに届けたいのか
- どのような印象をユーザに持ってもらいたいか
設計の時点で方向性を固めることで、後々の作業でコンセプトにズレが生じることを防ぐことができます。また、この段階では、具体的なトンマナやボタンの形やフォーマットまでは決めきらず、コンセプト中心の話題がほとんどです。
続いて、完成した設計を元に実際にアプリを構築していきます。ディレクターやエンジニアとの共同作業になることも多いため、アプリデザイナーには円滑なコミュニケーション能力も必要です。この段階では、以下のようなアクションが求められます。
- デザインレギュレーションの決定
- トンマナや配色などの決定
- ワイヤーフレームの制作
- デザインの実装
より具体的なデザイン業務に移るため、コンセプトをデザインに落とし込めるだけのコンセプト理解とともにデザインスキルが求められます。
サービスやアプリケーションのビジネスグロース
公開したアプリやサービスを分析し、ビジネスとしてグロースさせることも、アプリデザイナーの重要な仕事です。
具体的には、
- ABテストを用いてより良いデザインを模索する
- アクセス・行動データを分析し、問題点を改善する
- 分析データを元に、アプリの収益力を向上させる
といった改良を重ねていくことで、より収益率やユーザの体験価値が高いデザインに改良していきます。
未経験からアプリデザイナーを目指すために必要なこと
未経験からアプリデザイナーを目指すための、6つのポイントを解説します。
基本的なデザインスキルを高める
アプリ制作に不可欠なAdobeのデザインツールは、ぜひ習得しておきましょう。
- Figma
- Sketch
- Adobe XD
以上の3つは特によく使いますので、優先的に学習しておいて損はありません。その中からご自身にフィットするツールや、企業で使用されているツールに絞り込んでいくと良いでしょう。
また、プログラミングやコーディングスキルは必須ではありませんが、エンジニアと共同作業する場面も多いため、仕組みの理解についてはできれば身につけておきたいスキルです。
UIデザインへの理解を深める
優れたUIデザインを提供するために、日頃から多くのアプリに触れて理解を深める機会を作りましょう。
見やすい・使いやすいアプリを見つけたら、
- どういったUX設計から、このUIデザインに落とし込まれているか
- デザインに取り入れられる部分はないか
- さらにUIを高める改善点はないか
などといった細部を詳しく研究し、自分のデザインスキルとして定着化させていきましょう。
目標とするアプリを徹底的に模倣することも、UIデザインの理解力を深める良い方法です。
UXデザインへの理解を深める
UXデザインは、UIを含めたすべてのアプリ体験を内包するため、理解を深めるにはより多角的な学習が求められます。具体的なデザインの学習方法は以下の3つです。
- デザイントレース
- 書籍
- UdemyやYouTubeなど動画学習
UIやUXという概念はデザインの中で注目されて長くない領域です。そのため、書籍だけではなく、最新の既存サービスや動画教材などからトレンドや具体的な事例について学習しておきましょう。
特にUX視点でデザインをトレースする際には、以下の3点について確認がおすすめです。
- アプリが使いやすいだけでなく、使って楽しいか
- コンテンツと料金のバランスに満足できるか
- ユーザーが求めるニーズを正確に読み取れているか
UX設計を学ぶ際には、デザインだけでなくマーケティングやプロダクト開発も含めた知識が必要です。デザインだけではなく、デザインプロセスに関する学習も行うようにしましょう。
アプリのビジネスモデルなどビジネスサイドの視点を知る
ビジネスモデルとは、事業が収益を生み出す仕組みのことで、アプリデザイナーとして学んでおくべき知識のひとつです。ビジネスモデルの理解など、ビジネスサイドの提案や交渉は、デザイナーというよりもディレクターやプロジェクトマネージャーが担当する領域ではあります。
しかし、クライアントが求めるのはビジネスの成功であり、デザイナーがデザイン視点で、ビジネスサイドと交渉・提案ができれば企業とより良い信頼関係を築けるでしょう。
アプリの収益化には、以下のようなモデルが使われるのが一般的です。
- サブスクリプションモデルを導入する
- 一部機能を有料化する
- アプリ内広告を利用する
デザインするアプリによっても最適なビジネスモデルは異なるため、できるだけ幅広くマネタイズ方法について学んでおくことで、デザインに生かしやすくなります。また、ビジネスサイドの知識にも強くなっておくことで、自身のキャリアがデザインのプロフェッショナルとしてだけではなく、プロダクトマネージャーやディレクターなどへの転身の選択肢を広げやすくなります。
コミュニケーション能力を高める
アプリデザイナーは、社内・社外を問わず高いコミュニケーション能力が要求される職業でもあります。
- ディレクターを通じてエンジニアによる実装内容についての機能を理解する
- ロゴデザインをグラフィックデザイナーと共同で作成する
- 作成したアプリの概要をクライアント企業に説明する
ほかにも、少人数でアプリ制作をする際にはチーム全体のスケジュール管理を任される場面もあるでしょう。
言葉のマナーや受け答えといったコミュニケーション能力はもちろん、ZoomやSlackなどの各種コミュニケーションツールにも精通しておくべきです。
仮説構築・検証など改善プロセスに慣れる
アプリの収益性を高めるために、構築した仮説を実行・検証して改善するサイクルに慣れておきましょう。「PDCAサイクル」に代表されるように、仮説検証プロセスには様々なものがありますが、アプリデザインにおいては、「デザインスプリント」が注目されています。デザインスクリプトとは、アイデア出しから検証を高速で回すためのデザインプロセスです。
デザインスプリントとは、以下の6つのプロセスに分かれます。
- Understand(理解)…サービスが解決すべき課題を定義するために、ユーザ理解を深める
- Diverge(発散)…ユーザの課題を解決する具体的なアイデアを生み出す
- Decide(決定)…アイデアを取捨選択し何を検証するか決めワイヤーフレームを作る
- Prototype(プロトタイプ)…プロトタイプを制作しアイデアを具現化する
- Validate(検証)…実際にユーザにテストしてもらい仮説を検証する
UIやUXデザインには、正解がなく改善を積み重ねていくことが欠かせません。そのため、仮説検証プロセスを高速で回しやすいデザインスプリントが注目されています。また、デザインスプリント以外にも、機能単位の小さいサイクルでプロダクト開発をすすめる「アジャイル開発」という手法もよく取り入れられています。
未経験でアプリデザイナーとして働きたい際には、このようなデザインプロセスについては概要だけでも把握しておくことで、現場のキャッチアップが早くなります。
一定量のアウトプットとスピードを両立させる
アプリデザイナーとして成果を出すためには、ある程度の仕事量とスピードを両立させるテンポの良さも求められます。特に、アプリやWebサービスの現場では、トレンドや顧客の変化も早く、少し前まで最適と言われていたものが時代遅れになることもあります。そのため、デザインスクリプトに代表されるように「いかに高速かつ効果的に仮説検証プロセスを回すか」ということが重要です。
このような背景から、アプリデザイナーに対しても、デザインの質だけではなくスピードが求められやすくなります。例えば、デザインスクリプトにおいてデザイナーが最も重要になるのは、アイデアを具現化する「Decide(決定)」「Prototype(プロトタイプ)」の場面です。アウトプットの量とスピードを両立させるには、想像力だけではなく、自分の中のデザインのストックや事例の数、デザイン原則の理解などが欠かせません。
特に、経験の浅いデザイナーであれば、納期ぎりぎりまで独力で粘っても、必ずどこかで修正点は発生します。それならば60点くらいの完成度で早めに提出し、フィードバックを受けながら修正し、スピードとアウトプット量を両立できるようにしておきましょう。
徐々にキャリアアップして、アプリデザイナーを目指そう!
未経験者からアプリデザイナーになるためには、「Webデザイナーからステップアップする」方法をおすすめします。まったくの未経験からアプリデザイナーとして就職できる可能性は低いため、まずは基礎的なWebデザインの仕事をしながらスキルを磨くほうが現実的です。UI/UXデザインから基本的なプログラミング能力まで、アプリデザイナーに求められるスキルは数多くあります。実際の職場でアプリデザインに触れつつ、家でも学習を続ければより効率的ですので、諦めずに憧れのアプリデザイナーを目指しましょう!