目次
はじめに
2022年の終わりにChatGPTが発表されて以降、AIへの関心が急激に広がっています。美しく鮮やかなイラストを数分で作成したり、メール返信や電話対応などさまざまな業務を人に代わって行ったりする様子を見ていると、「デザイン業務にAIを活用することができるのではないか?」「AIにデザインの仕事を奪われるのではないか?」など期待や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。そこで本連載では、2024年にデザイナーはAIとどのように関わってゆくべきなのかを考えていきたいと思います。
本記事では、AIブームや話題の生成AIの知識について簡単におさらいし、デザインにおいて具体的にどのような活用方法が考えられるのか解説していき、実際に活用できるツールの紹介もします。ぜひ参考にしてみてください。
なぜデザイナーがAIについて考えなければならないのか?
デザイナーの業務への影響
Webデザイナー・UIデザイナー・UXデザイナーがAIについて考えるべき理由の1つは、その技術が実際の業務に与える影響が大きいことが挙げられます。AIを業務に導入することで、デザインプロセスを効率化したり、より良いデザインを制作できる可能性があるからです。例えば、以下のようなデザインに関わるタスクを効率化したり、デザインにおいて新しいアプローチを行うことができます。
- デザインに関するインスピレーションや提案を受ける
- 最適なレイアウトの提案
- 頻繁に使われるコンポーネントやパーツの自動生成による効率化
- データ分析やリサーチ
- デザイン全体の自動生成
- 画像の自動生成
デザイナーはAIに一部の業務を任せることができるので、よりクリエイティブな作業に時間を費やせるようになり、デザインのアウトプットの質を向上させることが期待できるでしょう。
表現の幅が広がる可能性
AIを活用することで、これまで高度だった新たなデザインの可能性が考えられます。例えば、以下のようなデザインや手法が挙げられるでしょう。
- 常識に捉われないインスピレーションを与えるデザイン
- 個人の好みや状況に合わせて最適化されたデザイン
- 時間や条件などに応じて変化していくインタラクティブなデザイン
デザイナーがAIを用いることで、これまでにない斬新で自由な表現を実現できるようになり、ユーザーの体験の質をより良いものにすることができる可能性があります。
デザイナーの将来的なキャリアプランとの関係性
AIの進化に伴い、デザイナーの業務内容や求められるスキルも変化していく可能性があります。
近年の急速なAI技術の進歩により、将来的にデザイン業界では、デザイナーとAIとの協働がますます一般的になると考えられています。この流れに対応できるよう、AIを使いこなすためのスキルやアプローチ、AIの倫理や安全性に関する知識などを身につけることが重要です。
このような点を意識しながらキャリアを築くことで、将来的に活躍の場を広げることができるでしょう。
AIの進化についておさらい
AI(人工知能)の進化は歴史的なフェーズを経て、それぞれの時代で異なる発展を遂げています。ここでは、第1次AIブームから第4次AIブームまでの主な特徴や進展について簡単に解説していきます。
第1次AIブーム(1950年代〜1970年代)
第1次AIブームは、AIの概念が初めて提唱され、研究が本格的に始まった時期です。主に論理的推論や知識表現に焦点が当てられました。研究者たちは、人間の論理的思考をコンピュータで再現することで、機械に人間の知能を実現するという理念に基づいていました。
第2次AIブーム(1980年代〜1990年代)
第2次AIブームは、専門家システムや専門知識の取り込みに焦点を当て、AI技術の応用が進みました。ニューラルネットワークなどの新しい技術が開発され、AIの精度が向上しました。また、医療などの分野でAI技術の商業利用が進展した時期でもあります。
第3次AIブーム(2000年代〜2010年代初頭)
第3次AIブームでは、大量のデータが利用可能になり、深層学習(ディープラーニング)が注目を集めます。画像認識や自然言語処理の分野で顕著な進展があり、これにより機械学習アルゴリズムの性能が向上しました。特に2010年代初頭には、ディープラーニングに基づくニューラルネットワークが驚異的な成果を上げたことで、AIの新たな黄金時代が到来したと言われています。
第4次AIブーム(2010年代〜現在)
第4次AIブームは、ディープラーニングや機械学習の急速な進歩とともに進行しています。大規模なデータセット、クラウドコンピューティング、高度なアルゴリズムにより、AIは様々な分野に展開されています。自動運転車、医療診断、金融分野などさまざまな分野でのAIの実用化が進み、現在進行形で社会全体に大きな影響を与え続けています。
デザインの業務過程でAIを使うことで得られる具体的なメリットとは?
デザインの業務においてAIを使用することで、様々なメリットが得られます。ここでは、そのメリットについて考えていきます。
作業の効率化
AIは、繰り返しの作業やデザインのプロセスを効率的に処理するのが得意です。AIにいくつかの作業を任せることで、デザイナーはよりクリエイティブな作業に集中して取り組むことができるようになるでしょう。
例えば、以下のような作業を人間の代わりに行ってくれます。
- 定型のデザインパーツを繰り返し使用する作業
- 大量のデータから傾向を抽出する作業
- ユーザーの行動や心理を分析し、デザインの改善点や新たなアイデアの提案
- 既存のデザインデータやユーザーの好みに基づいた、デザインの生成
このようにAIと協業することで、デザイナーはより効率的に作業に取り組めるようになるでしょう。
労力やコストの削減
AIを適切に利用することで、プロジェクトにおいてコストを削減できる可能性があります。具体的には、以下のような活用法が挙げられます。
- AIの導入により、時間や作業工数の面で効率的にプロジェクトを進めることができるため、結果として全体のコスト削減につながる
- AIに事務的な作業やアシスタントに任せるような作業を担当してもらうことで、人を雇う必要がなくなり、少人数でデザイン業務全体を行える
特に大規模なプロジェクトやデザインにおいて、AIの効果が顕著に現れると考えられます。
デザインのインスピレーション源
AIは膨大なデータを分析し、様々なデザイン要素を組み合わせることで新たなアイデアやスタイルを提案することができます。AIが提供するスタイルやデザインは、デザイナーの予想を上回るような斬新な発想を提案してくれるかもしれません。新しいレイアウトやデザインのプロトタイプを生み出す過程で、デザイナーの助けになってくれるでしょう。
アイデアを練っていく過程でのアシスタント的役割
デザインの初期段階では、テーマやコンセプトを決めていく過程に時間をかけることが大切です。AIは、さまざまなアイデアや改善点を瞬時に提案してくれる強みがあるので、クリエイティブなプロセスにおいて、アシスタントの役割を担い、デザイナーの作業をサポートしてくれます。
AIを取り巻くキーワード解説
AIを学ぶ際には、いくつかの基本的なキーワードを理解することが重要です。以下に、AI学習において知っておくべきキーワードを解説します。
人工知能 (AI)
人間の知能を模倣するコンピューターシステムや機械開発のこと。現在は、機械学習や深層学習などがAIの一部として注目されています。
機械学習
コンピュータープログラムがデータから学習し、その学習結果に基づいて新しいデータに対する予測や判断を行う技術のこと。機械学習には、以下の4つの種類が存在しています。
- 教師あり学習
- 教師なし学習
- 半教師あり学習
- 強化学習
ディープラーニング
多層のニューラルネットワークを用いた機械学習の一手法。画像認識や自然言語処理などのタスクにおいて優れた性能を発揮しています。
ニューラルネットワーク
生物の脳神経回路を模倣した構造を持つ機械学習モデル。ディープラーニングにおいて広く使用されています。
生成AI
生成AIとは、既存のデータを学習し、その知識を基に楽曲や画像、動画、プログラムのコード、文章など新たな創作物を生成するAIの一種です。
汎用人工知能(AGI)
人間と同等の汎用的な知能を持つ人工知能のこと。AIが特定のタスクに特化した人工知能であるのに対して、AGIは人間が行うことができるあらゆる知的作業を理解・学習・実行することができます。
プロンプト
ユーザーがAIに対して入力する指示や質問のこと。より正確に自分の思い通りのものを生成するには、プロントの入力を上手くなる必要があります。文章によるプロントがほとんどですが、画像をプロントとして扱うAIもあります。
自然言語
人間が会話や文章などで日常的に使用する言語のこと。例えば、日本語、英語などが挙げられます。プログラミング言語との対比として使われることが多いです。
大規模言語モデル
自然言語処理タスクにおいて、強力で高度な性能を発揮するために設計された巨大で複雑な機械学習モデル。LLM (Large Language Models) とも呼ばれ、世の中に存在している大量のテキストデータを学習し、言語の構造や文脈を理解する能力を持っています。
GPT-4
OpenAIが2023年に公開されたChatGPTの最新モデル。GPT-4が、これまではできなかった画像や音声を読み込み、テキストを出力することを可能にしました。GPT-4は、AIの進歩を象徴するモデルであり、今後もさまざまな分野でイノベーションをもたらすと考えられています。
音声認識
音声認識とは、AIを用いて、音声をテキストに変換する技術のこと。人間がキーボードでを使わずに、声だけでスマホやコンピューターに指示を送ることができます。音声入力、音声アシスタント、音声翻訳、音声操作など様々な分野で用いられている技術です。
シンギュラリティ
AIが人類の知能を超える時点のこと。アメリカの未来学者レイ・カーツワイルによると、シンギュラリティは2045年までに到来すると予測されています。シンギュラリティが到来すると、AIはさまざまな分野で人間の仕事を代替し、社会構造や価値観に大きな変化をもたらすと考えられています。
デザイナー向け国内外の便利なAIツールのご紹介
●Figma編
Genius
Geniusは、より良いUIデザインを提案してくれるAIです。ユーザがFigma上で行うデザインの操作を学習することで、何をデザインしているかを理解し、デザインの構成要素の配置の提案をしてくれます。Geniusがアシスタントのようになって、人間と共同で作業していくようなイメージです。
基本料金は無料。月額19ドルから。
Wireframe Designer
Googleが提供する英語でキーワードや文章を入力するだけで、すぐにワイヤーフレームを生成できるツール。モバイルとデスクトップの両方のワイヤーフレームを生成することができます。ワイヤーフレームの作成時間を短縮できるようになるため、よりクリエイティブな側面に時間をかけることができるようになるでしょう。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額4.99ドルから。
Ando
Andoは、テキスト(英語、日本語)での指示や図形、画像をもとにAIが画像生成してくれるFigmaプラグインです。抽象的な頭の中でのイメージを形にしてくれる便利なサービスです。3Dのイラストやアイコンも作れるという点が特徴です。
基本料金は無料。プレミアムプランは、月額19ドルから。
Magestic
英語でキーワードを入力することで、クオリティの高いアイコンをつくることができるツール。Magesticで作成されたアイコンは、個人使用および商用使用が可能です。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額29ドルから。
Magician
Magicianでは、テキスト(英語、日本語)を入力すると、アイコンや画像が生成されます。Figma上で生成されたものを自由に編集・組み合わせをすることができるのがポイントです。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額19ドルから。
Freepik AI ImageGenerator
Freepikが提供しているFigma上で利用できる生成画像AI。インターフェイスがシンプルで直感的なので、初めての方でも簡単に画像作成をすることができます。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額19ドルから。
Dreamer
Dreamerは、figmaとfigjamの両方で世界的な画像生成AIツールStable Diffusionが使用できるツールです。figma上で、画像生成をしたい方におすすめです。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額19ドルから。
unbackground
Clueify
Clueifyでは、ユーザビリティ調査をAIが行ってくれるサービス。利用履歴を自動で分析し、ヒートマップなどでユーザーの動向を確認することができるので、サイト改善の際に重宝するツールと言えます。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額19ドルから。
Muse.ai
Muse.aiはAIが必要なコピーライティングを自動で考え、提案をしてくれるサービス。文章のトンマナや長さなどを簡単に調節できるという、柔軟性の高さがポイントです。
基本料金は無料。プレミアムプランは月額19ドルから。
●UIデザイン編
Uizard
Uizardは、AIを用いたUIデザインツール。テキスト(英語)の入力でUIデザインが生成できたり、手書きのスケッチをワイヤーフレームに変換できたり、スクリーンショットを編集可能なデザインに変換できたりと、さまざまな便利な機能が搭載されています。短時間で質の高いUIデザインを作りたいクリエイターにおすすめしたいツールです。
基本料金は無料。月額プランは12ドルから。
trace
traceは、テキスト(英語)を入力すると、アプリが作れるサービス。SwiftUIを勉強したい方にもおすすめのツールです。
基本料金は無料。月額プランは19ドル。
Galileo AI
Galileo AIは、テキスト(英語)を入力することでUIを自動で生成できるサービス。Figma上で編集ができる点もポイントです。
基本料金は無料。月額プランは29ドルから。
●画像、テキスト、イラスト、デザイン編
Midjourney
有名なAI画像生成サービスのMidjourney。AIに描いて欲しいイラストを構成するキーワードを「flower, mountain,cat, smile」のように英語で入力すると画像が生成されます。手書き風のイラストから、リアルな風景写真まで幅広いテイストの画像を生成することができます。
生成できる画像の枚数によって金額が変わります。プランは、月額10ドルから。
Claude
ClaudeはアメリカのAnthropic社が開発したAIチャットツールです。ChatGPTやGoogleのBardと同様の対話型のインターフェースでチャット形式で作成指示ができます。日本語の精度も高く、ニュース記事によってはChatGPTを上回る高評価を得ています。
Dream Studio
AI画像生成サービスのdreamstudio。Midjourneyとは異なり、ある程度まで無料で使用することができます。アニメ風、写真風、手書き風、ファンタジー風などあらかじめテイストを選べる点も特徴です。
アカウント登録時に無料で約125枚の画像が生成できます。それ以降は、画像生成1枚につき10ドル。画像1000枚分が10ドルで購入できるので、割引価格で利用できます。
Text to Image
グラフィックツールcanvaによるAI画像生成ツール。その名の通り、テキスト(英語、日本語)を入力することで、画像が生成されます。生成された画像は、canva内で加工したりサイズを変更したりと調整することができます。
基本料金は無料。月額プランは19ドルから。
AutoDraw
手書きで絵を描くと、AIがその絵に関連した様々なイラストの案を提案してくれるGoogleg提供するツール。たとえば、上の写真のように魚の落書きをすると画面上部の「Do you mean?」の文字の右側に、テイストが異なる魚のイラストが表示されます。気に入ったイラストがあれば、ダウンロードが可能です。
基本料金は無料。月額プランは10ドルから。
Luma AI GENIE
Luma AI GENIEは、テキスト(英語)から3Dモデルを10秒で生成できるAIツールです。一度に複数のサンプルを作ることができたり、メタルやプラスチックなどへ質感を変えたりと、様々な調整ができます。また、FBXやUSDZ、OBJファイルなどのエクスポートが可能です。
基本料金は無料。月額プランは1ドルから。
Alpha3D
テキスト(英語)と写真から3Dモデルを数分で生成してくれるツール。簡単に自分の思い描く3Dを生成することができます。
登録して、最初の50回は無料で生成することができます。その後は月額2000円から。
Alpaca
2Dのスケッチやイラストをもとに3Dモデルに変換してくれるツール。プロダクトデザイナーなど、デザインを 3D で視覚化したい人にとって理想的なツールと言えるでしょう。
基本料金は無料。月額プランは10ドルから。
Stockimg.ai
stocking.aiは、テキスト(英語)を入力することでAIが画像を生成してくれるサービス。本の表紙やポスターに特化したデザインを作ることができるのが特徴です。
基本料金は無料。月額29ドルから。
Khroma
Khromaは、自分好みの色を50色選択すると、AIがそれぞれのユーザーに合わせておすすめのカラーパレットを生成してくれるサービス。配色に関して、新たなアイデアが欲しい方はぜひ一度トライしてみてください。
基本料金は無料。月額プラン29ドルから。
Microsoft Designer
Microsoftが提供するAIを活用したデザインツール。作りたいデザインや画像の要望を文章で(英語、日本語)入力すると、イラスト、画像、テキストを組み合わせたデザインのパターンを提案してくれます。SNSへの投稿など、短時間で大量のデザインを作る必要があるシーンで役立つツールと言えます。
基本料金は無料。月額プランは10ドルから。
Chat GPT DALL-E3
OpenAIが開発した画像生成AI。ChatGPTを使って画像を生成することができます。有料ですが、ChatGPTに使い慣れている方にはおすすめのツールです。
無料プランでは10枚の画像生成が可能。25ドルの月額プランでは無制限で画像を生成することができます。
Fontjoy
Google AIが開発したAIを用いてフォントの組み合わせを生成してくれるサービス。ヘッダー、サブヘッダー、本文の3種類の大きさが用意されており、高コントラストと低コントラストを選択して、様々なフォントの組み合わせを試すことができます。簡単に効果的なフォントの組み合わせや、新たなアイデアを見つけられる点がポイントです。
基本料金は無料。フォント生成をたくさんしたい方は月額プラン10ドルがおすすめ。
Looka
Lookaは、AIを活用したロゴ作成サービスです。 会社名や業種、好みのデザイン、カラーなどを入力すると、AIが数分でロゴの案を提案してくれます。ロゴ作成にコストや時間をかける余裕がない場合におすすめのツールです。
基本料金は無料。月額プランは19ドルから。
ARTISO
これまで紹介してきた画像生成AIは画期的で便利ですが、プロンプトを習得しなければ思い通りの画像を生成することはできません。今すぐ完成度の高い生成AI画像を使ってみたい方、AIが生成した画像を試しに見てみたい方におすすめしたいのがAI画像を検索できるサイトARTISO。単語を入力するだけで、様々なテイストのAI画像を検索することができます。
基本料金は無料。月額プランは29ドルから。
aisplash
フリー素材サイトunsplash が運営するおしゃれなAI画像が掲載されているサイト。unsplashのテイストが好きな方はぜひブックマークすることをおすすめします。
基本料金は無料。月額プランは29ドルから。
Magnific.ai
「上記のAIツールを使って画像を作ってみたけど、細かい部分が粗いし、不自然な箇所がある、、、」そんなお悩みを持つ方におすすめしたいのがMagnific.ai。生成AIを用いて作った画像の精度を上げ、クオリティを高めることができます。
基本料金は無料。月額プランは29ドルから。
Remove.bg
あらゆる画像のいらない背景を数秒で削除してくれるサービス。細かい部分もかなり正確に切り取りをしてくれます。LPを作成する際に特に重宝するでしょう。
1日10枚は無料。無制限プランは月額9ドルから。
●動画編
Sora
現在、画像AIは急激な発展を遂げているのに対し、動画生成AIはより複雑な解析が必要といった背景もあり、まだまだ発展途上の段階にあります。その中で技術的に最も優れていとも言われている動画生成AIがOpenAIが開発したSoraです。他の動画生成AIと比べて、より高画質で複雑な指示に対応できることがポイント。文章(英語、日本語)や画像を入力すると画像が生成されます。
まだ一般公開はされていませんが(2024年2月現在)、OpenAI公式サイト から、Soraの無料体験ができます。気になる方はぜひ一度やってみてください。
Movavi
AIがビデオ編集を手伝ってくれるツール。初心者から経験豊富なユーザーまでがビデオを作成・編集できるように設計されています。ビデオのトリミング、分割、結合、特殊効果やトランジションの追加、色調補正などを、AIの力を借りて簡単に行うことができます。
基本料金は無料。月額プランは99ドルから。
Synthesia
Synthesia は入力したテキスト(日本語含む120以上の言語)に合わせて、リアルなAIアバターの口の動きや表情を同期させ、プロレベルの動画を短時間で作成することのできるツール。動画撮影をせずに、高品質な動画コンテンツを簡単に誰でも作成することができます。教育、マーケティング、エンターテインメントなど、さまざまな分野で活用することができる汎用性の高いビデオツールと言えるでしょう。
1日10件の動画は無料。それ以上は、月額22ドルから。
D-ID
上記のSynthesiaと同じく、リアルな人間やイラストが入力したテキストを読み上げてくれる動画を作成できるツール。こちらのツールは、架空のキャラクターにも適用できる点がポイントで、広告などでも活用することができるでしょう。
金額は、動画の時間ごとに変わります。5分まで無料。それ以降は4.7ドルから〜。
Suno
Sunoは、テキストの入力によって音楽を生成することのできるツール。歌詞や曲の雰囲気、音楽のジャンルの単語などを入力していくと、2分ほどの曲をAIが作ってくれます。英語のみならず、日本語含めてさまざまな言語の曲を作成できるのもポイントです。
無料版は1日5曲まで作成できます。有料版は月額8ドルから〜。
●リサーチ編
ChatGPT
ChatGPT
OpenAIが提供している会話型 AIサービス。聞きたいことを日本語や英語などの自然言語で尋ねると、返答が返ってきます。ChatGPT自体が大量のデータを蓄積しているため、効率的に情報収集をすることができます。
基本料金は無料。最新バージョンであるGPT-4を試したい方は、月額20ドルのプランがおすすめ。
Bard
Bard
Googleが提供する会話型 AIサービスのBard。Google検索と連携しているため、最新の情報を反映した回答が得られのがポイントです。Chatgptと比べてより簡潔に答えてくれる印象です。
基本料金は無料。
Big Chat
Bing
Microsoftが提供する会話型 AIサービス。不慣れな人でも直感的な操作ができるのが特徴です。
会話のスタイルを「創造的に」「バランスよく」「厳密に」の3つから選べるのもユニークです。
基本料金は無料。
ChatPDF
ChatPDFは、PDFの書類をアップロードすると要約・翻訳をしてくれるサービス。国内外の論文や資料を瞬時にそして簡単に理解することができます。本腰を入れたリサーチの際に重宝するでしょう。
無料版は1日に読み込めるPDFファイルの数が3つ、ページ数は120ページまでと限定されていますが、無料版でも十分に活用できるかと思います。有料版は月額5ドルから。
DeepL
31言語の翻訳をしてくれるDeepL。さまざまな翻訳アプリの中でも、DeepLは最も精度が高く、自然な翻訳をしてくれます。また、PDF、Word、Powerpointなどの書類の翻訳もしてくれます。リサーチで海外の資料を用いるときや英語でのプロンプトを作るときはぜひ使ってみてください。
基本料金は無料。リサーチなどで大量の文章を訳したい方は、月額750円のプランがおすすめ。
●ミーティング編
Miro AI
Miro AI
Miro AIは、チームメンバーがWeb会議等でリアルタイムでホワイトボードを共有し、アイデア等を共有することができるサービス。AIがマインドマッピング、アイデア生成、データの要約とクラスタリング、製品開発のワークフローの自動化などを行ってくれます。ミーティング時の作業やプロセスの効率性をよりあげたい時に、使いたいサービスです。
無料でも使用できますが、月額8ドルのプランから上記のようなサービスを使うことができます。
tl;dv
tl;dv/は、Google MeetやZoomなどのオンライン会議の録画・文字起こし・要約などを、AIを活用して自動化できるツールです。オンライン会議の時間を短縮し、より効率的に情報共有を行うことができます。社内の会議の議事録を作成したり、録画した動画を新人教育や業務改善に取り入れたりとさまざまなシーンで活躍するでしょう。
基本料金は無料。有料プランは月額20ドルから。
Whisper
OpenAIが提供する音声認識モデルWhisper。いわゆる文字起こしツールです。日本語の音声でも精度高く文字起こしをしてくれるのが特徴です。会議やインタビュー記事の作成時などで重宝しそうなツールです。
1日25分まで無料。無制限で使いたい方は、月額20ドルのプランがおすすめ。
Whimsical AI
Whimsical AIは、AIの力を借りながらマインドマップが作れるツールです。キーワードを入力すると、瞬時に複数のアイデアをAIが提案してくれます。アイデア出しの作業が捗らずに悩んでいる方は、ぜひ1度このツールを使ってみてください。
基本料金は無料。より多くのマインドマップを作りたい方は、月額プラン10ドルから〜がおすすめ。
●書類、記事作成編
Notion AI
Notion AIはブログ記事作成、アイデア出し・ブレインストーミング、会議のアジェンダ作成、表・ガントチャート作成、営業メールやSNS投稿文の作成などをAIが行ってくれるサービスです。業務の効率化を図りたい時、円滑にプロジェクトを進めたい時など幅広いシーンで役に立つツールといえるでしょう。
基本料金は無料。月額プランは10ドルから。
Catchy
Catchyは、OpenAIのGPT−3を搭載したライティングツール。記事作成やキャッチコピー制作、広告文作成、文章のリライトなどを生成してくれます。幅広いライティングの用途に活用することができます。
基本料金は無料。月額3000円のプランでは、より多くの記事制作をすることができる。
Gamma
AIが搭載されたプレザンテーション作成ツール。ドキュメントを作成するだけで、おしゃれなプレゼンテーション資料をAIが作ってくれます。このツールを使うことで、よりプレゼンテーションの内容に磨きをかきあげる時間ができそうです。
1日10スライドまで無料で作成することができます。それ以上作成したい方は、月額1500円〜のプランがおすすめ。
Easy Peasy AI
Easy Peasy AIは、AIを用いた文章作成ツールです。ChatGPTよりも、速く返答してくれるというのがアピールポイント。SEOに強い記事作成、画像生成、文字起こしなど、さまざまなAIを搭載したサービスが提供されているのが特徴です。
基本料金は無料。ヘビーユーズしたい方は、月額500円〜のプランがおすすめ。
AIとデザインについてのまとめ
ここまで、デザイン分野においてAIを活用することのメリットについて解説してきました。一方で、AIの活用には慎重なアプローチが求められることも事実です。
最後に、2024年にデザイナーがAIを活用する上で注意するべきポイントと、AI活用の可能性について改めてまとめたいと思います。
デザインにAIを活用するうえでの注意点
著作権侵害のリスク
AIが生成した画像やテキストは、インターネット上の画像やテキストを参考にしている場合があり、他の記事や作品の著作権を侵害している恐れがあります。そのため商用利用する際は、類似した作品がないか確認しておきましょう。
人間らしさとのバランス
AIが生成するデザインは、時に不自然で人間らしさに欠けることがあります。デザイナーは、AIが作り出したものをそのまま使うのではなく、毎回デザインをチェックし、必要に応じてデザインのチューニングをすることをおすすめします。
倫理とバイアスの問題
AIは、学習データに含まれるバイアスや差別的な要素を取り込み、偏ったデザイン提案をしてしまう恐れがあります。AIが提案してくるアイデアに対して、その都度デザイナー自らが倫理的な視点から的確な判断をしていくことが大切です。
日々の情報収集が欠かせない
AI技術は日々急速な進化を遂げています。デザイナーは各種メディアやSNSなどを通じてAIについての情報を日々収集しながら、実際の業務でも新たなツールや手法を積極的にそして柔軟に取り入れていくことを心がけていきましょう。特にFigmaとAIの相性が良く、本記事でも紹介した様に様々なツールが日々発表されていますので、継続的にチェックしていきましょう。
デザイナー自身のクリエイティブなセンスも大事にする
AIの特性上、過去のトレンドや既存のデザインに基づいた提案を行いがちです。しかし、デザインには新しさや独自性が求められるため、デザイナー独自の世界観を構築したり、センスや感性を磨いたりすることも引き続き重要になっていきます。
現時点ではアシスタントとしての役割
上記のような点から、AIはあくまでも「人間のアシスタント」として捉えることが望ましいでしょう。デザイナー自身がAIの長所や短所などを十分に理解し、独自の判断で修正や改善を加えられる立場で、AIと付き合っていくことが大切です。
AI活用の可能性
クリエイティビティの向上
AIは、これまでにない新たなデザインを生み出す可能性を秘めています。例えば、生成AIを用いることで、これまでになかったレイアウトや視覚的表現を伴ったデザインを作成することができます。また、ユーザーの心理や行動を分析することで、効率面にフォーカスしたデザインを提案してくれることもあるでしょう。
デザイン作業の効率化
プロジェクト管理にAIを活用したシステムを導入することで、進行が効率的に行えることができるようになります。例えば、パーツの繰り返し、ページの量産などデザインのルーチンワークをAIに担当させることで、デザイナーはより本質的でクリエイティブな作業により集中することができ、より短時間で成果物を仕上げることが可能となるでしょう。
データ整理・分析
AIは、デザイン分析にも活用することができます。具体的には、ユーザーインタビューを行った際のラフなメモもChat GPTに入力することで、その人のペルソナ、ニーズやペインの整理、インサイトの発見なども自動化できることがあります。他にも、過去のデザイントレンドを分析することで、今後のデザイントレンドを予測のアイデアを提供してもらうことも可能でしょう。このようにAIを活用することで、ターゲットのことをより深く知れたり、新たなトレンドについて示唆をもらうこともできるのです。