インターネットは2000年代以降、急速に発達してきました。その発達を「バージョンアップ」になぞらえて作られたのが「Web2.0」という言葉です。2022年現在はWeb2.0の真っただ中にありますが、近々「Web3.0」の時代もくるのではないかと噂されています。
そこで今回は、Web3.0の到来に備えWeb2.0について知りたい方に対し、その概要や代表的なサービスを紹介します。
Web2.0とはなにか?
以前のインターネット(Web1.0)は、新聞や雑誌と同様、Webサイトを「読む」ことが主流でした。
そこから、Web1.0にはない新たな技術や仕組み、発想などに基づいて作られたものの総称が「Web2.0」です。簡単にいうと、「次世代のWeb」です。日本でこの言葉が広まったのは、「ウェブ進化論: 本当の大変化はこれから始まる」(2006年 梅田望夫 著) という本によるところが大きいです。
Web2.0に移行するにあたり、インターネットの目的は「読む」から「使う」にシフトしていきました。では具体的にどのように変わったのか 5つの視点から紐解いていきましょう。
Web2.0ではユーザによって情報が作られ整理される
一方的な情報発信で終わっていたWeb1.0に対し、Web2.0はユーザからも情報発信ができるようになりました。アプリケーションの開発などにより、双方向性のコミュニケーションが可能となったのです。
そして、Web2.0の情報は、その双方向性のコミュニケーションによって蓄積され、整理されるようになりました。ユーザが増えれば、おのずと情報の総数も増えるようになっていったというわけです。
Web2.0ではユーザによる口コミやレビューに価値がある
プロが書いたレビューは、「買ってほしい」という気持ちがにじみ出ていて、なんとなく信じられない・買うのを渋るという方も多いのではないでしょうか。一方で、一般人の口コミやレビューは、実際に使った人の等身大の言葉であるため、信頼しやすいでしょう。
Web2.0では一般人の口コミやレビューの価値が上がり、商品やサービスの販売数もそれらに左右されやすくなりました。販売側としても、ユーザからのフィードバックを踏まえ、さらなる改善に活かせるメリットも生まれています。
Web2.0はユーザ参加型のサービス
Web2.0におけるユーザは単なる「閲覧者」ではなく、「Webサイトのページを作り上げる協力者」です。最も分かりやすいのが、オンライン百科事典「Wikipedia」でしょう。Wikipediaでは、ユーザは編集者としてページに追記・修正できます。
また、ブログやSNSの発達により、ユーザ同士の情報交換や共有が可能になりました。このように、ユーザ参加型のサービスが増えた点も、Web2.0の大きな特徴の1つです。
Web2.0ではネット自体への信頼がある
インターネット上で交わされる個人情報や行動履歴などは、GAFAという巨大企業が管理しています。GAFAとは、GoogleやAmazonなど、4つの代表的なIT関連企業を指す言葉です。
例えば、Amazonで商品を買うとき、住所やクレジットカードなどの個人情報を入力します。これは、Amazonを信頼しているからこそできることです。
Web2.0ではネット自体への信頼があるために、さまざまなアプリケーションやサービスが発達してきたといえます。
Web2.0では情報へのアクセスを分散できる
Web1.0では全体的なページ数が少なかった上、利用者も限られていました。そのため、アクセスが限定的な場所に集中しやすい傾向にありました。
しかし、Web2.0では世界中の人々が利用し、あらゆるタイミングでアクセスできるようになっています。これにより、情報へのアクセスが分散され、より快適にインターネットを利用できるようになったのです。
Web2.0の具体的なサービス事例
Web2.0のサービスは、現代人の生活に欠かせないものばかりです。今度は、Web2.0の具体的なサービス事例を5つ見ていきましょう。
InstagramやTwitterなどのSNS
InstagramやTwitterは、ユーザ参加型の代表格といっても過言ではありません。ユーザは自由に日々の様子をつづったり、写真をアップロードしたりできます。他ユーザの記録も閲覧・コメント、共有(シェア)なども可能であり、双方向性のスムーズなコミュニケーションを実現したサービスです。
特に情報発信のスピードが速いTwitterでは、公的な機関もリアルタイムな報道のために使用することが多くなっています。
GoogleやYahoo!などの検索連動型広告
Google Adsenseなど広告表示によって収入を得るビジネスも、Web2.0で生まれたサービスの1つです。
検索キーワードと高い関連性のある広告を表示する「検索連動型広告」は、今や企業のWebサイトはもちろん、個人のブログなどでも使用されるようになりました。
Wikipediaやブログなどのユーザが作るコンテンツ
Web1.0でのコンテンツは、HTMLや対応ソフトを使いこなせる人にしか作れませんでした。しかし、Web2.0では、誰でも簡単にブラウザからページの編集ができるようになったのです。ユーザーが作り出す情報は、CGM (Consumer Generated Media / コンシューマー ジェネレイテッド メディア)と呼ばれています。
CGMが活かされた代表的なサービスとしては、Wikipediaやブログ、キュレーションメディアが挙げられるでしょう。ブログではアフィリエイトリンクやインターネット広告を貼れるため、一般ユーザもビジネスとして運用する機会が増えています。
GoogleMapsなどのリッチな顧客体験
GoogleMapsも、Web2.0の代表的なサービスの1つです。従来の地図サービスでは、クリック・通信後に次の画面が表示されていたため、時間的ロスが多々ありました。
しかし、GoogleMapではリアルタイムでスクロールでき、直感的な使用ができます。Web2.0により、スムーズな操作性で快適な顧客体験を実現したといえるでしょう。
Amazonなどのロングテールによるビジネスモデル
実店舗では、棚に置ける商品の数に限りがあります。たとえ100種類の商品があっても、実際に店舗に出して販売できるのは20種類ほどです(小売業で有名な2:8の法則)。
しかし、Amazonのようなネットショップでは、商品棚という制限がありません。実店舗であれば不良在庫化する商品も、ネットショップでは100種類すべてを売りに出すことができます。すると、そこから利益が発生するチャンスも生まれるのです。
このように、Web2.0はインターネットを活用したビジネスモデルにも大きく影響しています。
Web2.0とWeb3.0の違いとは
「Web3.0」は、Web2.0よりさらに進化した状態です。
Web2.0の情報は双方向性でしたが、どうしても間にIT企業を挟む必要がありました。しかし、Web3.0ではその壁を取り払い、ユーザ個人同士が自由にやり取りできるようになるのではないかと言われています。
インターネット上のデータをユーザ自身が保持し、必要なときに必要な情報を呼び出して利用する…ユーザ自身がデータを「自由にコントロール」できるようになったとき、Web3.0の時代に突入するということです。
Web2.0は現在の主流のサービス形態がほとんど
Web2.0はSNSやネットショップなど、現在主流となっているサービスが含まれています。Web1.0の「読む」だけのインターネットから、Web2.0では「使う」インターネットへシフトしました。
今後は、さらなる進化を遂げた「Web3.0」もおとずれることが期待されています。Web3.0の到来に備え、今のうちにWeb2.0をしっかり理解していきましょう。